ヴィーテ・イタリア ワインイベント


  「ブドウ畑へ!」 その16


  
   カベルネ・ソーヴィニョンの蕾 開花まであと2,3週間!


   3回目の「芽かき」になります。


   出発時の滋賀県は曇り空で、ちょっとドキドキしていましたが
   京都ぐらいから晴れ間が見え出して、神戸ではすっかり快晴でした!


   今回は、スライド等による解説を端折って、いきなり畑での
   実践講習と言う形です。確かに、解説を聞いても分からない
   部分が多く、実際の現場で始めて分かることも沢山あります。

   教科書と現場はあまりにも違います。

   自然がそう簡単に相手にできるものではない、マニュアル
   通りには行かない複雑なものであることの証明でしょう。

  
   栽培課 末松さん(右端)による詳しい解説が始まります。


   「芽かき」とは、一本のブドウ樹から収穫するブドウの量を
  をコントロールするために行う年間を通した「剪定」の補助
  作業で、具体的には次のような要領で行われます。

  1.約20センチ間隔に一つの芽を残して他の芽を掻き取る。

  2.複数の芽が密集している場合、

    A、突出して大きな芽は房がいかに大きなもので沢山あっても
      必ず掻き落とす

      
 ⇒そうしないとこの芽だけにエネルギーが取られて結局
         樹のエネルギーを浪費させることになるそうです。


    B、極端に下側から出ていたり、樹の列からはみ出している
      芽も切り落とす

        
⇒そうしないと、誘引作業をしにくくさせるばかりか
          葉が光合成しにくくなります。



    C、隣の芽から空間が大きく開いている時は2芽残して
      おいても良い、

        
⇒ 空間を有効利用するということ、そして樹のエネルギー
          の効率的な使い方が大切なんですね


    D、主幹から遠い芽を掻き落とす

        
⇒ これもできる限りブドウの樹のエネルギーを浪費させない
           ためです。


   などの注意点がありました。

  3.一つの場所から二つの芽が出ている場合は、その芽の方向や
    蕾のつき具合から判断して、適当なほうを必ずはさみで切り
    落とす。手で掻き落とした場合、芽の根っこがえぐれてしまい
    残した芽が風などで落ちやすくなるため。


   収量を落とすことと同じくらいに大切な「芽かき」の目的は芽のできる
   場所の風通しをよくして、湿気、病原菌、虫などからブドウを守ることが
   あります。

   梅雨のある日本ではこれも致し方ない、というか、非常に日本的な
   ブドウ栽培といえるでしょう。



   講習中にどさどさと芽を落としていく末松さんに


   「もったいない!」の声が上がります(^^;)


  
 「これらを落とさないと、残した芽がブドウのエネルギーを浪費して
   結局はまともなブドウができないんですよ。今、掻き落とさないことの
   方が、”もったいない!”」


   ときっぱり言う末松さん。


   ざっと、実演を交えて末松さんが講習してくださったのですが
   3年目のヴェテラン組を除いては、半信半疑、、疑心暗鬼という
   感じで、恐る恐る作業に入っていきます。


  

   僕がこの日担当したのはティントレットです。
   結果母枝が細かく入り組んだ、難しい樹でした。

   

   母枝の先端は小さな芽だけだったのですべて掻き落とし
   ました。(末松さんは、「現段階で房のついていない芽は落として
   いただいて結構です。もう実がつくことはありません」とおっしゃって
   いました)

  
 

   左と右の写真の違いが分かりますか、左の芽の密集を芽かきする
   と右のような状態になります。

  

   あまりにも多くの芽が密集していると、もう訳分かりません(^^;)
 
   それでも、突出している芽はないか、外側にそれた芽がないか
   房をつけていない芽はないか、などに注意しながらどの芽を残すか
   自分で決め、自分で実行していかなければなりません。

   迷った時は末松さんや安居さんを呼んで確認と取ってから
   落とすようにしていました。


  

   全体の芽かき作業が終わってすっきりしたヴィーテ・イタリアの
   カベルネ・ソーヴィニョンのラインです。


   右が日本のソムリエ協会さんのラインだそうですが、まだ芽かきを
   されていないため、こちらのラインよりもボーボーした印象を受けませんか?
   (後日「芽かき」に来られるそうです)


  

   開花前の蕾・・・・というか、ブドウは花びらがなく、おしべと
   めしべを包んでいるキャップのようなものが取れると同時に
   受粉をするそうです。鳥や虫の力なしに受粉できるというのは
   植物の中でも珍しいのでしょうか。

   とにかく、ブドウが天文学的な長い時間の流れの中で、生き延びて
   きたその術を見るような気がします。

  

  この上に伸びる枝と右方向に伸びる芽の付け根に注目して
  下さい。Vの字になったその下の方に赤いようなピンク色の
  ような色が見えます。

  末松さんによるとこれは、来年の芽となる部分だそうで、この
  あたりからも、ヴィンテージが繋がっている、ヴィンテージは
  その年その年で区切られるものではなく、連続して流れて
  いるものという事が分かります。


   

   ↑ 残念ながら「黒痘病」を患ったブドウの樹です。葉も黒くなって
     もうまともな房をつけることが難しいとか。

  

   最後には、質疑応答でブドウ栽培についての話が弾みました。

  「芽かき」は一度に一気にするものではなく、だいたい2〜3回に分けて
  するので、次回は、開花時期に行うことになりました。今回残した芽が
  かなり伸びているはずなので、「誘引」作業も同時に行う予定です。


  

   ↑道を隔てた実験畑にあったSO4のブドウ。つまりドイツのブドウ品種と
   アメリカ系ブドウ品種を交配して生まれた台木です。小さいながらしっかりと
   育っているんですね。


  

   ↑オーナーズクラブの畑の脇には、ピノ・ノワールも育って
   いました。ワインになるのは10年後「俺なんかもう、灰になっとる・・」と
   冗談を言う高坂課長(^^;)


   

   ワイン城に戻って、テイスティングをさせていただきました。軽い運動の後
   ですから、すっかり気が緩んでしまいそうでしたが、できるだけ集中して
   テイスティングしました。


  1. リースリング 2001

   神戸ワイナリー自慢の一品ですね。

   色は薄い麦わら。緑の反射。香りは柑橘系から桃まで甘くて心地良い
   香りです。時間がたつとリースリングらしい「石油香」が出ていました。
   単純な甘口ワンとは一線を画した秀逸なワインだと思います。

   おそらく、ワイナリー側から言えばまだ飲み頃ではないのでしょう。
   酸はぴちぴちして心地よいのですが、熟成に耐えうる良質の酸と
   アルコールの滑らかさがあるので、まだまだ先に飲んでも美味しいと
   思われます。

   アタックからアフターまで一貫した酸の存在があり唾液をかなり分泌させ
   ます。そして余韻にオークやアーモンドまで感じることができます。
   ステンレスタンクのみの熟成ワインなのに・・・・ワインの不思議さ、神秘さ
   をこの価格で味わえるのですから、幸せです。


  2. ロゼ 2004

   やや黒味を帯びた薄いルビー。イチゴや花の香り。カベルネ、メルロー系の
   独特の苦味があります。セロリなどの野菜香。

   酸は綺麗で余韻にも心地よく残ります。やや余韻にアルコールのツンと
   鼻をつく香りがありました。


  3. まだリリースされていない2005 ノーブル

   しっかりとしたルビー色。草や青汁の香り。鉛筆の芯。
   酸にトゲ、タンニンはやや粗い。まとまりは出ていませんが
   全体的な力強さはあります。
   

  4. ノーブル 2000 (カベルネ65、メルロー40)

   凝縮したガーネットがかった赤色。熟れたブルーベリーからジャムの
   ブルーベリー。酸、タンニン共に落ち着きがあり、液体が綺麗に覆って
   まとまりがあります。果実味が複雑味を一歩リードして、非常に心地良い
   フルーツと奥深い熟成感が楽しめます。



  高坂課長によると、2005年のほうはカベルネ、メルローともに樹齢が27年を
  迎えており、気候の助けもあって、2000年に比べるとかなり良いヴィンテージ
  であるそうです。

  もちろん、現在のワインの質的な状況を見ると2000年ノーブルのほうが
  遥かに質的放物線の上層を走っています。けれども、その描く放物線が、
  2005年ヴィンテージの方が幅、高さともに大きな弧を描くということです。

  同じブドウ構成でいながらヴィンテージによる差が出るというのは単に
  気候のよしあしではなく、樹齢が高くなるというアドヴァンテージを持つと
  いうことがいえるんですね。


  ということで、今回のレポートはコレにておしまい。

  
  次回は、開花期の神戸でお会いしましょう!!(^^)


  

    次回開催予定はコチラ!

  
  
    
  「ブドウ畑へ!」全レポート
   第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」
   第二回 2005年6月 副梢整理と誘引
   第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる
   第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング
   第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫!
   第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定
   第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング
   第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング
   第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去
   第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2
   第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング
   第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ
   第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ
   第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木
   第十六回 2007年5月 芽かき
   第十七回 2007年6月 副梢整理、巻き蔓除去、誘引



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