神戸ワイナリー内の枝垂れ梅。満開でした(^^;)


  

    ブドウ畑へ!  No.15

    2007年3月4日(日)

    剪定&接木
   


  今回は、完全に畑作業に徹してテイスティングなしで終える予定
  だったのが、神戸ワイナリーのお気遣いにより、テイスティング後の
  畑作業になりました。

  まずは、神戸ワインの樽出し(タンク出し)ワインのテイスティングから。

  
   何気ない手書きのラベルですが、妙にカッコ良い・・・
   



  1. 2006 シャルドネ  樽発酵
     色、薄い、緑色がわずかに反射
     香り、トロピカル系の香りが前面に、強くない
     味わい、微発泡、酸は尖り、引き(余韻)も長い
          滑らかさは中強
     余韻は、わずかに樽香


  2. 2005 シャルドネ  ステンレス発酵&樽熟成
     色、薄い、緑色わずか
     香り、1ほどそれとわかるフルーツはないが、甘く洗練された
         味わいの果実の香り、酸もまろやか
     味わいは、酸と柔らかさのバランスが優れている。

    

  3. 2006 リースリング(クローン番号64)
 
    色、薄いが1,2よりは濃い麦わら
     香り、酸化防止剤(SO2)の香りが強く鼻を刺す、マッタリとした
         果実を感じるが、SO2によってややマスキングされている
     味わいは、適度な甘みがあり円やか。きれいな酸もあり甘ワイン
     として飲み心地の良さがある。



 
 2006年のワインは今発酵が終わって、安定化の段階にさしかかって
  います。つまり澱だとか不純物を温度を下げること(だいたい13度前後  
  =セラー温度)によって結晶化させ沈殿させるのですが、その際に添加
  していた酸化防止剤(SO2)もいっしょに落ちてしまうそうです。

  その落ちた分を補填したときのSO2がワイン中に溶けきらないときに
  我々はテイスティングをしてしまったようです。



  4.  2005 メルロー
     
 やや青い、植物的香、プラム、チョコ
       色は薄いながらも、果実の凝縮感がかなりある
       タンニンは、中強、中粗


  
  5.  2005  ノーブル
    
  ブルーベリー系、コケ系の香り
      タンニン蜜、酸もしっかり → 余韻に綺麗に残る
                         ややタンニンギスギス


  6.
  2005 カベルネ・ソーヴィニョン(4,5年後にリリース)
      
まさに「厳格な」ワイン
      タンニンの細やかさ、香りの引きともに素晴らしい!
      もちろんボルドーのブドウを使っているからボルドー系のワイン
      ということになるだろうけど、そのエレガントさ、味わいの流れ、
      たたずまいはブルゴーニュ的で、これこそ神戸の真骨頂じゃないか。


  テイスティングが終わると、栽培担当の末松さんより剪定と接木の簡単な
  レクチャーが行われました。スライドや動画を使っての説明は視覚的に
  とても分かりやすいのですが、いざ自分が鋏を持って作業するとなると
  オロオロするばかり・・・。

  
   
動画資料に沿って説明してくださる末松氏(左奥)


  ○剪定の目的

   広い意味では、冬季剪定、夏季剪定、芽かき、摘芯などを含んでいて
   すべてが互いに補完しあっているといえるようです。

   
1.冬季剪定は樹形を整え、格枝間のバランスを保ち、樹勢を調節し
     健全な樹勢を維持させる。また病害虫の感染を防ぎ収穫を容易とする。

   2.結果量を調節し、年々良品質の果実を安定生産する。

   3.各種の管理作業を効果的効率的に、行える。



  以上は、神戸ワイナリーさんからいただいた資料の抜粋ですが、2の
  「結果量を調節」のところに末松さんが下線を引いてらっしゃいます。

  つまり今回の冬季剪定のもっとも重要な目的だと思います。


  作業すれば一目瞭然ですが、延びきった結果枝には無数の芽が
  あります。それを母枝からほんのわずかしか残さないのです。

  神戸ワイナリーではわずかに2芽。
  収穫量を減らすことは、一株のブドウが持つ味わいのポテンシャルを
  ブドウに凝縮できるわけです。逆に収穫量を増やせば(たくさんの房を
  つければ)、その味わいを威力を多くのブドウに拡散させることになり
  ブドウそのものの味わいが薄くなる、というわけです。

  だから収穫量を減らすことは、ワインの質を高めることに繋がるのです。

  いわば、ブドウの母は多くの子供をつくることを人間に許されていない
  のです。

  悪いね・・・カベルネちゃん。でもこれがお互いが長く共生するための
  必要不可欠なことなんですよね。


  ○剪定の仕方
   短梢剪定は枝の基部1〜2芽を残して切り返すが、樹体や枝の
   勢力差によって残す芽を調節する必要がある。

  1.樹勢の極めて強い場合   3〜4芽  
       樹勢を分散させて樹を安定させる

  2.樹勢中庸の場合        2芽

  3.樹勢の弱い場合        1芽
       強く切り返し、基部のより樹勢のある芽を活かす。


   神戸ワイナリーで我々が担当させていただいている樹は2の樹勢中庸
   の樹なので、「2芽」で切り返すことになっています。

   さて、説明が終わると早速外に繰り出して、神戸ワイナリー敷地
   内にあるカベルネ・ソーヴィニョンの列に入り実演開始です。

  
    
この2列だけがボウボウの状態です(^^;)

    わずかに見えている右の列はきれいに剪定されています。


  
   
熱心に末松さんの説明を聴く参加者の皆さん


  初めて参加された方は末松さんの説明に熱心に耳を傾けられ
  昨年に引き続き参加された方は自らの樹へと鋏片手に飛んで
  いかれ、どんどんと作業を進めていかれます。

  僕は2度目にも関わらず、少々オロオロしてしまいました(^^;)

  昨年もそうだったのですが、2芽で切る時の1芽目をどう判断したら
  良いか分からない枝が沢山あるんです。

  また結果枝間が20センチに満たないほど密着している場合は
  母枝から遠いほうをのこぎりで切り落とす場合もある。

  

   上の写真がそうですね。左下の結果枝を活かして、伸びた先の
   枝は切り落としちゃう。切った跡は、病原菌が入らないように
   木工用ボンドで表面を塗るんです。

  

  

  切る時は枝に対して必ず垂直に切り落とします。なぜかと言うと・・・

  

  斜め切りは、とてもスムースに柔らかく切れるのですが、切り口の
  断面積が大きくなり、そこから病原体が入りやすいからなのです。

  観賞用の植物、一輪挿しなんかでは必ず斜めに切り落としますが
  果樹栽培ではご法度なんだそうです!!


  

  上のように作業に入ったばかりのころは昨年の結果枝がそのまんま
  残った状態ですが、剪定を進めると・・・


   

   こんな感じですっきりとします(^^)


  

  僕が世話した樹TimbroCaroもこの通りです!!


  

   徐々に剪定が進んで、下のようにヴィーテ・イタリア担当の列は
   きれいさっぱり切り落とされています。右列が作業後。

  

  暖冬のせいでしょう、こんな虫までが主幹の中で越冬して
  おりました。

  

  荒皮をめくると出てくる、出てくる。
  何の虫かは、わかりませんが「さみ〜〜なぁ!」と怒って
  いるようです。

  わずかに残した各枝の2つの芽が、これからどう成長していくか、  
  楽しみに見守りたいと思います。


  引き続いて、接木作業のために場所を移動します。

  今回は神戸ワイナリーさんの特別の計らいで(!?)、我々は
   トラック移動をしました。

  


  作業場は昨年同様元「しいたけ館」です。

  

  接木については、お分かりの方が多いと思いますが少しだけ
  簡単に説明を。

  今の世界のワイン醸造用ブドウのほぼすべてがアメリカ系ブドウ品種
  の台木の上にヨーロッパ系のブドウ品種を接木して生育されています。

  この接木は、19世紀末にヨーロッパのブドウ畑を襲ったフィロキセラという
  ブドウの根っこに寄生するアブラムシに対する抗体をアメリカ系のブドウ
  品種のみが持っていることから、採用された方法です。
  (もともとフィロキセラはアメリカ東部に生息していた虫で、人間の往来と
  共にヨーロッパに伝わってしまったのです)。

  この接木をしないとフィロキセラに必ず侵されてブドウができなくなる
  わけです。根が食い荒らされて葉が赤くなるそうです。

  そんなわけで、神戸ワイナリーのすべてのブドウもこの接木によって
  フィロキセラ対策がなされています。

  
◎ ここでしか見れない!?接木機

  神戸ワイナリーが所有するドイツ製の接木機は想像を絶する
  優れものですね。

  一見ミシンのようで、台木とメルローの穂木を一瞬にしてつなぎ
  あわせます。

  

      

  まず穂木を接木機に乗せて、ペダルをガシャンと一押しすると
  真ん中の写真のように右側に切り取られた台木がくっついて
  来ます。

  今度は台木をセットしてもう一度ペダルでガシャンとすると
  右の写真のようにきれいに接木されます。

  頭を右に曲げれば鼻のでかい人が笑っているようにも見えますし
  頭を左に傾ければ人の肩から頭の輪郭にも見えます。

  こうして接木されたものを放っておけば、その切り口から微生物等
  がすぐに侵入することでしょう。

  これを防ぐために蝋で表面を覆います。実に不思議な話ですが
  この蝋を破って新しい芽が季節が暖かくなるころに伸びてくるのです。

      

  台木の下端はナイフで表面をきれいに削っておかないと、病原菌に
  犯される心配があります。

  真ん中の写真で、上の赤い部分が蝋でコーティングした接合部分
  ですが、それより下の芽はカットして、これまた木工用ボンドでコーティング
  しておきます。

  最後に土に挿し木して、水をやると作業完了です!

  


  栽培課の末松さんによると槌の部分は常に30度に保ち
  木の部分は常に湿度を高くキープして40〜50日
  置くと芽が出てくるということです・・・。

  自宅にそのような環境はなく、絶望するしかないのですが
  「黒いビニールで土を覆って、上部は霧吹きを常にかけて
  いれば育ちます」というお言葉を信じて今年も、いえ、今年こそ
  生きて年を越せるメルローちゃんを育てたいと思います。

  (昨年は、油断して庭にほったらかしにしてしまった2,3日間に
   暴風雨にやられてしまいました^^;)、芽は出たんですけどね・・・


   結局のところ、根が生えない限りはブドウも実らない、ましてや
   ワインなんて!!という世界だそうです。

   「芽が出たぐらいでラッキーと思っておいたほうが良い・・・」

   とにかく高温多湿を心がけて、春の到来を待つことにします。


  神戸ワイナリーの高坂課長、末松さん、安居さん、今回もありがとう
  ございました!!

  そして参加者の皆さんも本当にありがとうございました。
  また、次回をお楽しみに!!



    次回開催は2007年4月末予定ですが、まだ未定です。




  

   
  「ブドウ畑へ!」全レポート
   第一回 2005年5月 はじめての「ブドウ畑へ!」
   第二回 2005年6月 副梢整理と誘引
   第三回 2005年7月 ブドウ畑について尋ねる
   第四回 2005年8月 色んな畑のブドウをテイスティング
   第五回 2005年9月 発酵、圧搾、そして収穫!
   第六回 2006年1月 アッサンブラージュと剪定
   第七回 2006年3月 接木&青空テイスティング
   第八回 2006年5月 芽かき&醸造現場テイスティング
   第九回 2006年6月 誘引、巻き蔓除去、先端カット、副梢除去、花カス除去
   第十回 2006年7月 酷暑の中の誘引、まきづる除去 パート2
   第十一回 2006年8月 畑巡り&ブドウテイスティング
   第十三回 2006年12月 『グラン・クリュ大沢(オオゾ)』へ
   第十四回 2007年2月 2006収穫ワインのアッサンブラージュ
   第十五回 2007年3月 冬季剪定&接木
   第十六回 2007年5月 芽かき




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