イタリア土着ブドウ辞典
 
 イタリアの代表的葡萄から超ローカルな土着葡萄まで、ご紹介していき
 ます。葡萄品種の特質を知ることによって、その土地の風景から、その
 生産者の思い、ワインの味わいの世界までもが見えるようになります。

  No.6  モンテプルチャーノ  Montepulciano

同義語:モンテプルチャーノ・ダブルッツォ
      ウーヴァ・アブルッツェーゼ
歴史:起源は不明。過去には誤ってサンジョヴェーゼ種と同じと見なされていたが、今ではギリシャ葡萄系統であるとする考えが主流。現在はアブルッツォ州とその近隣州が主な生産地となる。
特徴:葉は中ぐらいの大きさで五角形五列葉。表面は深緑色で泡が多い。房は中位の大きさで、円錐形または円錐筒形、とても引き締まっていて、時に翼を広げている。粒は中ぐらいの楕円形で、果皮は硬く、黒紫がかっていて、蝋粉が多い。
活力: 中ぐらい 
生産性:中ぐらいからまあまあ一貫性がある    
成熟: 遅い 
    10月の前半から後半にかけて収穫
◎マルケ州の主にモンテプルチャーノを使用するワイン ◎「ワイン用葡萄ガイド」(ジャンシス・ロビンソン著)からの抜粋
中央イタリアの大半のワイン産地(1990年の総栽培面積31000ha)で、栽培される品種。イタリアの95の県のうち20で奨励されているがしばしば優れたモンテプルチャーノ・ダブルッツォとロッソ・コーネロやロッソ・ピチェーノといった赤ワインの主原料として使われているマルケで最も広域に栽培されている。

モリーゼやプーリアでも栽培される。さらに北で栽培するには成熟が遅すぎるきらいがあるが、良心的な価格の色調の深い良く熟した、ほどよいアルコールとエキス分を備えた葡萄を確実に産出している(北部のワイン瓶詰業者は、これよりも濃縮度の低いワインと混ぜて量を増やしているところもある)。

この品種は時々コルディスコ、モレッローネ、プリマティッチオやウヴァ・アブルッツォと呼ばれる。
◎アブルッツォの主にモンテプルチャーノ種を使用するワイン ◎モリーゼ州の主にモンテプルチャーノ種を使用するワイン

◎ヴィーテ・イタリア高岡的見解



 2003年のヴィーテ・イタリア美食紀行で、バジリカータ州のマテーラに
滞在したときのこと。

 宿泊したホテルからサッシ観光(世界遺産)にでかけようとしている
時にふと、道を隔てた薄暗い建物を覗くと上のような光景に出くわした。

 葡萄の名前を聞くと、嬉しそうな顔で左のおっちゃんが

 「モンテプルチャーノだよ」


 と答えてくれた。これから自家製ワインになるべく、手動破砕機にかけ
られる直前のモンテプルチャーノちゃんなのだった。


マテーラをご存知の人は多いだろうが、念のためにその有名な町並みを
お目にかけよう。

←こんなんです

 綺麗って言ったらいいのか汚いって言ったらいいのか・・・・(^^;)


この洞窟住居群の中にも中世からワイン作りをしていた発酵槽が
ある。今ではほとんどがなくなったか使用していない状態だが
紀元前から連綿と洞窟を掘り、そして家を張り巡らせてきたこの街で
ワイン作りはとても盛んだったという。

 
 洞窟住居内にあるワイン発酵槽(パルメント)

 遺跡と化した住居跡を巡っていると、このパルメントをいたるところで
見ることが出来る。

 いかに人々の生活の中でワインが不可欠なものであったかを
物語る風景の数々。

 モンテプルチャーノはそういう街の中で、今でも「当たり前のように」
醸造されている葡萄だ。もちろん、その質は・・・・・・きっと・・・・・・・(^^;)。


 モンテプルチャーノ種を語る上で絶対に欠かせないイタリア人がいる。

 ジャーナリズムを嫌い近代醸造に背を向けてかたくなに自らの哲学に沿って
モンテプルチャーノ・ダブルッツォを作り続ける孤高のイタリアワインの巨人
と言っていいでしょう。

 そう、エドアルド・ヴァレンティーニ。

 詳しくは、「本」のページの「イタリア 味の原点を求めて」をご覧下さい!
 
 こうした「恐ろしく個性的なイタリア人」によって醸造されているのも
モンテプルチャーノ種なのです。

 僕は、ヴァレンティーニのモンテプルチャーノ・ダブルッツォを数えるほどしか
飲んでいませんが(^^;)、一番最初にローマで飲んだ90年ヴィンテージの味は
忘れることが出来ません。

  
(こんなラベルだけど・・・これはモンテプルチャーノじゃない!
ネットで探したけど全然なかった・・・つまり・・・ないっつうこと!?)

 当時は95年だったのですでに収穫から5年の歳月が流れていた
わけだけど、その時のモンテプルチャーノは、まるで5年前からタイムスリップ
してきたような、信じられないほどイキイキしたみなぎるパワーを感じさせた。


ああ〜〜ん、モウ!!


である(^^;)。

なんかこう・・・・超熟成タイプのワインを樽からいただいているような・・・
「未完成交響曲」を大音量で聴いているような・・・・

(あの当時、それほどまでの濃縮感を持った濃厚なワインはイタリアワイン
ではほとんどなかった。それも土着の田舎ワインモンテプルチャーノの
レベルでは奇跡以外の何物でもなかっただろう)

なにか不完全だけど、手がつけられないほどに神々しい何かが
漂っている・・・。「霊感」だろうか。

ヴァレンティーニのワインは、重くて、それでいて活力のある「霊感」が
漂っている。その時にそう感じた記憶が残っている。


モンテプルチャーノの潜在能力はまだまだこれから発揮されていくだろう
と思う。

サンジョヴェーゼとよく似ていると思うけど、まだ全体像としてサンジョヴェーゼ
よりも田舎臭く、野暮ったい。酸やタンニンのポテンシャルはまったく引けを
とらないのに、洗練度に欠ける。

10年後のモンテプルチャーノを予想してみよう。
僕は、サンジョヴェーゼの上を走っているような気がする。
コストパフォーマンスなら今でも完全勝利だからね。

「スーパー〜〜」なんて名前のモンテプルチャーノがどんなに輩出されようとも
マテーラのサッシでもモンテプルチャーノは造られ続けるだろう。



 ※厳重注意
 モンテプルチャーノという葡萄とモンテプルチャーノという村を混同しては
 いけませんよ!

  
モンテプルチャーノ・ダブルッツォ 

   ⇒ 葡萄品種&ワイン名(アブルッツォワイン)

  ヴィーノ・ノービレ・ディ・
モンテプルチャーノ

   ⇒ 村名(トスカーナワイン)

 そういえば、この二つの銘柄はお互いの名前からモンテプルチャーノを
 消すように裁判で争っていると聞いたことがあります。

 モンテプルチャーノ・ダブルッツォ側は「俺たちの方が、先に
DOC取得したからな!」

 ヴィーノ・ノービレの法は「俺たちの方が格上の
DOCGだ!」とやり合っているそうな。

 とあるワイナリー社長は「この裁判は永遠に終わんないよ!」と他人事のように
 笑ってたっけ。

 でも、最近モンテプルチャーノ・ダブルッツォのサブゾーンが
DOCGに昇格したことを
 受けて何か変化があるだろうか・・・・・・ないだろうね(^^;)。

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